結論|“帳簿上の価値”と“売却価格”の差が節税のカギ
会社が保有する不動産を売却する際、
その取引は単なる「現金化」ではなく、**会計上の損益処理(益金・損金)**が発生します。
ポイントは、帳簿価額(簿価)と売却価格の差額を正確に計上すること。
売却損は損金として節税につながりますが、処理を誤ると税務否認される恐れも。
“利益を減らすための損金処理”は、正確な証拠書類とタイミング管理が不可欠です。
はじめに
企業が所有する土地・建物を売却するのは、
資産の入れ替え・資金繰り・事業再編など、経営判断として重要な局面です。
しかしその裏では、会計上の処理や税務申告が複雑に絡み合います。
「損金になると思っていたのに否認された」
「赤字決算にできると思ったら課税された」──。
こうしたトラブルは、損金処理のルールを正しく理解していないことが原因です。
ここでは、不動産売却時の損金処理の基本と注意点をわかりやすく解説します。
不動産売却で発生する損益の基本構造
法人が不動産を売るとき、会計上は以下の式で損益を算出します。
売却益(または損) = 売却価格 - 帳簿価額(簿価) - 売却関連費用
- 売却価格 … 契約で定めた実際の金額
- 帳簿価額 … 取得価額 - 減価償却累計額
- 売却関連費用 … 仲介手数料、登記費用、測量費、解体費など
👉 **売却価格が簿価より高ければ「売却益(課税対象)」、
低ければ「売却損(損金処理可能)」**となります。
売却損が損金として認められる条件
① 実際に取引が成立していること
形式的な契約(関連会社間での名義移転など)ではなく、
実体を伴う売買契約と対価の授受があることが前提です。
② 適正な時価での取引であること
不当に安い価格で売却した場合、
「寄附金扱い」とされ、損金として認められないことがあります。
特に役員・子会社・関係会社への売却では要注意です。
③ 売却関連費用を明確に区分していること
仲介手数料や測量費、建物解体費などは売却損に含めて損金算入可能ですが、
事業とは関係のない支出や修繕費を混在させると否認対象になります。
損金処理できる主な費用項目
| 費用区分 | 内容 | 処理区分 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への成功報酬 | 売却損に含めて損金算入可能 |
| 登記費用 | 司法書士報酬・登録免許税 | 損金算入可能 |
| 測量・境界確定費用 | 売却準備に必要な費用 | 損金算入可能 |
| 建物解体費 | 更地売却のための解体工事 | 損金算入可能 |
| 広告宣伝費 | 売却告知・販売促進費 | 損金算入可能 |
| 修繕費 | 売却前の付加価値向上目的なら可 | 内容によって判断 |
👉 これらはすべて売却活動と直接関連していることが証明できる書類が必要です。
損金処理の流れ(会計・税務手順)
1️⃣ 売却契約を締結し、売却価格を確定
2️⃣ 帳簿価額(減価償却後の金額)を算出
3️⃣ 売却関連費用を集計
4️⃣ 売却損・売却益を算出
5️⃣ 売却損が出た場合は「営業外損失」として損金計上
6️⃣ 決算書・法人税申告書に反映
注意点①|関連会社・役員間売買の扱いに注意
親会社・子会社・役員個人などとの取引は、第三者間取引よりも厳しく審査されます。
時価より安く売却すると、差額が「寄附金」または「役員給与」とみなされ、
損金にならない可能性があります。
✅ 対策:
- 不動産鑑定書や査定書を添付して時価を証明
- 第三者にも売却打診した形跡を残す
注意点②|固定資産台帳の整合性
減価償却の残高や取得価額が間違っていると、
売却損益の計算がずれてしまいます。
特に古い物件では、台帳の更新忘れが原因で税額が狂うケースが多発しています。
✅ 対策:
決算前に固定資産台帳を更新し、減価償却費の累計額を正確に反映。
注意点③|建物取り壊しと土地売却の時期
建物を解体して土地を売る場合、
解体費用をいつ損金処理するかが重要です。
解体後すぐに売却する場合は売却損に含められますが、
長期間空地で保有する場合は「資産除去費用」として別処理が必要です。
注意点④|売却損の損金算入時期
売却損を計上できるのは、契約完了日または引渡日が属する事業年度です。
決算を跨いで引渡した場合は、翌期に計上することになります。
節税につながる実践ポイント
✅ 1. 売却年度に設備投資を合わせる
売却益が出る年度に新設備を導入すれば、特別償却や即時償却で利益を相殺可能。
✅ 2. 減価償却を前倒し
期中に修繕・改修を行い、当期の費用化を進めることで節税効果が高まります。
✅ 3. 損金処理できる経費を漏らさない
仲介手数料・測量・登記・広告・解体など、
細かい費用を集計しておくことで実効税率を下げられます。

専門家コメント
「損金処理の可否を分けるのは、“合理的な根拠”があるかどうかです。
帳簿価額、取引価格、関連費用の整合性が取れていれば、税務否認は避けられます。
一方で、関係会社間の取引や名義貸し的な売却は、税務調査で最も指摘されやすい分野。
“節税目的”ではなく、“正当な損金処理”を意識することが大切です。」
― 株式会社みのパラ 代表取締役 田中 聡
よくある質問(FAQ)
Q1. 売却損はすべて損金にできますか?
→ 実体のある取引で、かつ時価に基づく価格であれば損金算入可能です。
Q2. 関係会社に安く売った場合は?
→ 差額分が寄附金扱いになり、損金として認められません。
Q3. 売却にかかった経費はどこまで損金になりますか?
→ 仲介手数料・測量費・登記費用・解体費など、売却に直接必要な費用は全て対象です。
Q4. 建物解体費はいつ損金にできますか?
→ 解体直後に売却する場合は売却損に含めて損金処理可能です。
Q5. 売却益が出た場合、節税できますか?
→ 設備投資・圧縮記帳・特別償却などで税負担を軽減できます。
Q6. 帳簿価額の確認方法は?
→ 固定資産台帳と減価償却明細書を照合して算出します。
Q7. 契約と引渡しが別期になった場合の処理は?
→ 引渡日基準で損益を計上します。
Q8. 不動産を役員個人に売った場合は?
→ 寄附金や役員給与とみなされる可能性があり、慎重な時価証明が必要です。
Q9. 売却後の会計処理はどこまで必要?
→ 会計仕訳・法人税申告・固定資産除却の登録削除まで行います。
Q10. 税務署に説明を求められたときは?
→ 売却契約書・査定書・領収書類を揃え、実体取引を証明しましょう。
まとめ|損金処理は“書類・価格・時期”の3点管理が命
会社が不動産を売却する際の損金処理は、
- 売却価格と簿価の差額を正確に算出
- 関連費用を漏れなく損金算入
- 時価での取引・正しい書類管理を徹底
この3点を守ることで、税務リスクを回避しながら節税効果を最大化できます。
不動産売却は単なる資産整理ではなく、経営戦略と税務戦略の交点。
必ず専門家のサポートを受けて進めましょう。
🏢 法人不動産の損金処理・節税相談なら株式会社みのパラへ
税理士・司法書士・不動産コンサルタントが連携し、
売却契約から会計処理・税務申告までワンストップで支援。
「損金処理が正しくできているか不安」「決算前に売却したい」という方はご相談ください。
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会社概要
会社名:株式会社みのパラ
所在地:〒562-0001 大阪府箕面市箕面3丁目1-5
TEL:072-734-6407 FAX:072-734-6408
MAIL:info@minopara.co.jp
URL:https://www.minopara.co.jp/
営業時間:10:00~18:30 定休日:水曜日
代表者名:田中 聡
所属団体:(一社)大阪府宅地建物取引業協会/(公社)全国宅地建物取引業保証協会/(公社)近畿地区不動産公正取引協議会
免許番号:大阪府知事(2)第60090号
資本金:1000万円
事業内容:不動産仲介、売買、買取、賃貸、管理、セミナー運営、相続相談、高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度(22-0313)




