結論|「放棄したから関係ない」は誤解。管理責任は一時的に残る
相続放棄をしても、すぐに空き家の責任が消えるわけではありません。
家庭裁判所に放棄を受理されても、
新たな管理者(相続財産管理人)が決まるまでは、
放棄者にも一時的な管理義務が残ります。
もし放置して倒壊や火災などの事故が起きれば、
行政指導・強制代執行・損害賠償請求の対象になることもあります。
「放棄した=放っておける」ではなく、
“放棄後の空き家管理”をどう引き継ぐかを明確にすることが重要です。
はじめに
近年、空き家問題の中でも特に増えているのが、
「相続放棄をしたはずなのに管理責任を問われる」ケースです。
たとえば、
- 遺産の借金を避けるために相続放棄した
- しかし、家が老朽化して危険だと行政から通告が届いた
- 放置していたら解体費用を請求された
──こうした相談は全国の自治体で増加しています。
この記事では、相続放棄後に空き家を放置した場合に起こり得る
行政処分・罰則・法的責任について解説します。
相続放棄とは?
相続放棄とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の財産や借金を一切引き継がない手続きです。
✅ 相続放棄の基本ルール
- 家庭裁判所に申述して受理されることで成立
- プラスの財産(家・土地)も、マイナスの財産(借金)も相続しない
- 放棄した人は最初から相続人でなかったものとみなされる
👉 ただし「放棄した瞬間に全ての責任が消える」とは限りません。
空き家が残っている場合、管理責任や近隣トラブルへの対応を求められるケースがあります。
放棄後も残る“一時的な管理義務”とは
相続放棄をしても、他の相続人や管理人が決まるまでは、
**民法第940条に基づく「相続財産の保存義務」**が残ります。
民法940条(要約)
相続人が相続の放棄をした場合でも、他に管理者が現れるまで、
財産を損なわないように必要な管理をしなければならない。
つまり──
- 家が雨漏りで崩壊しそう
- ごみが溜まり、害虫や異臭が発生
- 放火・倒壊の危険性がある
といった状態を放置すると、
一時的な管理義務を怠ったと見なされ、
行政指導や損害賠償の対象になる可能性があります。
放置すると起こり得る行政処分と罰則
① 特定空家等に指定されるリスク
空き家対策特別措置法では、
次のような状態の空き家は「特定空家」に指定されます。
- 倒壊の危険がある
- ごみ・雑草などで衛生上有害
- 景観を著しく損なっている
- 周辺の安全を脅かしている
👉 「特定空家」に指定されると──
- 行政指導・勧告 → 命令 → 強制代執行
という流れで進み、最終的に解体費用を請求される可能性もあります。
② 行政代執行と費用請求
命令を無視して放置を続けた場合、
自治体が代わりに解体工事を行い、
その費用を相続人(または管理義務者)に請求することができます。
代執行費用は100万円〜500万円を超えることもあり、
「放棄したはずなのに請求が来た」というケースも少なくありません。
③ 近隣被害で損害賠償を負うケース
空き家が原因で事故や損害が発生した場合、
放棄者や管理者が損害賠償を求められることがあります。
例:
- 屋根瓦が落下して通行人にケガを負わせた
- 倒木が隣家を壊した
- 放火で延焼した
👉 管理責任を放棄していたと認められれば、
民法709条の不法行為責任を問われることがあります。
安全に放棄・処理するための3ステップ
Step1. 放棄後はすぐに「財産管理人」を申立てる
相続人全員が放棄した場合、
誰も所有者がいなくなるため、
家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申立てます。
この管理人が選任されると、
以後の管理・売却・解体などの責任はすべて管理人に移ります。
Step2. 自治体へ「相続放棄済み」の連絡を
固定資産税の納税通知書や空き家指導が来た場合は、
放棄を証明する家庭裁判所の受理証明書を添付して、
自治体に「相続放棄済み」を正式に通知します。
👉 通知を怠ると、相続人宛に課税や指導が続く場合があります。
Step3. 管理人が決まるまで「最低限の管理」を続ける
- ポストの整理・ゴミ撤去
- 雑草刈り・雨漏り点検
- 火災・倒壊防止の応急処置
これらを怠ると「放棄した人も過失がある」とされる恐れがあります。
短期間でも、安全維持のための最低限の管理は必要です。

専門家コメント
「相続放棄後の空き家は“誰のものでもない”期間が生まれるのが問題です。
この間に事故や崩壊が起こると、行政が介入し、放棄者にも影響が及びます。
放棄が済んだらすぐに相続財産管理人を選任し、行政への通知を行うこと。
司法書士・弁護士が間に入ることで、トラブルを未然に防げます。」
― 株式会社みのパラ 代表取締役 田中 聡
よくある質問(FAQ)
Q1. 相続放棄をすれば固定資産税は払わなくていい?
→ 原則不要ですが、放棄後すぐに自治体へ通知しないと請求が続くことがあります。
Q2. 放棄した家が特定空家に指定されたらどうなる?
→ 行政指導・命令・代執行の流れとなり、費用が請求される場合もあります。
Q3. 家を放置して火災が起きたら責任は?
→ 管理義務を怠っていたと判断されれば、損害賠償の対象になります。
Q4. 相続財産管理人は誰が選ばれる?
→ 弁護士や司法書士が裁判所により選任されます。申立費用は約5〜10万円です。
Q5. 放棄した家を他人が不法占拠した場合は?
→ 管理人が決まるまでは警察や自治体と連携して対応します。放棄者単独では立ち退かせません。
Q6. 相続人が複数いる場合、全員が放棄しないとどうなる?
→ 放棄していない人が管理・処分の権限を持ちます。自分が放棄しても他人の責任は消えません。
Q7. 行政代執行の費用は免除されないの?
→ 原則として実費を請求されます。放棄者でも一時的な管理者と見なされる場合があります。
Q8. 放棄後の空き家を解体したいときは?
→ 家庭裁判所で管理人を通じて行う必要があります。勝手に処分はできません。
Q9. 放棄した後の郵便物や請求書はどうすれば?
→ 裁判所の受理証明書を提示し、差出人に相続放棄を通知しておきましょう。
Q10. どこに相談すればいい?
→ 司法書士・弁護士・自治体の空き家対策課に相談するのが確実です。
まとめ|“放棄して終わり”ではない。管理と報告が義務
- 相続放棄をしても、管理人が決まるまで一時的な管理義務あり
- 空き家を放置すると行政指導・罰則・損害賠償のリスク
- 早めに「相続財産管理人の申立て」と「自治体への通知」を実施
- 解体や処分は管理人を通じて法的に行う
- 専門家の関与でトラブルを防ぎ、安全に放棄を完了させる
👉 「放棄したから関係ない」ではなく、「放棄後こそ正しい手続きを」。
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代表者名:田中 聡
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免許番号:大阪府知事(2)第60090号
資本金:1000万円
事業内容:不動産仲介、売買、買取、賃貸、管理、セミナー運営、相続相談、高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度(22-0313)




